本館棟 屋根部分では、破風の復元作業が行われました。

ここで、まず『破風』とは何なのかをご説明します。
『破風』とは、東アジアに広く分布する屋根の妻側(建物の側面)の造形のことを言います。
垂木・母屋・桁の先端部を隠す為に取り付ける板のことを『破風板』と呼び、
左右の破風が合わさった箇所は『拝み(おがみ)』と呼ばれています。
『破風』は切妻造や入母屋造の屋根妻側には必然的にある為、多くの方が目にされていると思います。

≪本館棟 既存の破風の状況です≫
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本来であれば、塗膜が剝れ、銅板の装飾も脱落している為、修復は困難となります。
しかし、鴨沂高校の場合、脱落した装飾部分に汚れや日焼けなどにより装飾の跡が残っていた為、
修復が可能となりました。

いよいよ劣化部分の解体作業が始まりました。
築約80年の建造物である為、モルタルを捲ってみると、コンクリートが中性化などにより、
躯体は想像以上に劣化していました。

≪破風 解体後の様子です≫
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解体作業が完了すると、補修作業へと取り掛かりました。
予め、解体前に既存を実測しておき、改修前と同じように復元していきます。

≪破風 補修作業へと取り掛かりました≫
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補修作業が完了すると、外壁と同様に吹付け塗装を施していきます。

≪破風 吹付け塗装作業が完了した様子です≫
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破風の補修作業と並行して、装飾の復元作業を行いました。
過去の資料や現場でのあて紙による転写により、銅板の装飾を復元していきます。
銅板の装飾の表面は、緑銅風の塗装が施されています。

≪破風 銅板装飾の復元資料・図面です≫
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いよいよ復元された銅板の装飾を破風部分に取り付けていきます。
躯体にドリルで削孔し、アンカーを取付けて、銅板の装飾を取付けると、
銅釘の留め具を使用して固定していきます。

≪破風 銅板の装飾を取付けていきます≫
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本館棟 屋根破風部分の修復作業が完了しました。

≪本館棟 屋根破風 修復作業が完了した様子です≫
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改修前と同様の装飾が施された本館棟屋根の破風部分は見事に復元され、
堂々たる風格をひしひしと感じられます。
劣化部分や破損部分を改修するだけでなく、建物の装飾品や校舎のシンボルを復元することも
大切な補修工事の1つだと考えております。


公成・高塚・水野特定建設工事共同企業体
公成建設㈱HP: http://www.kohsei-const.co.jp
㈱高塚工務店HP: http://www.takatsuka-con.co.jp
水野建設㈱HP: http://www.mizuno-kensetsu.co.jp